仮想通貨マーケットメイク戦略とは

仮想通貨

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読者「Twitterを検索していたら仮想通貨のマーケットメイクっていう戦略が稼げると書いていました。マーケットメイクの基本的な考え方とその具体的手法について教えてもらえませんか?」

仮想通貨で利益を出す方法は、単に価格の上げ下げを予測するというだけではありません。仮想通貨の市場の価格差を利益にする裁定取引による方法仮想通貨トレードで受け取ることが出来るfunding手数料を利益にする方法など、以前の記事でも色々と紹介してきました。

今回説明するマーケットメイク戦略は、「価格変動以外の要因により利益を出すことを目標にしつつ、価格変動予測も組み合わせて実行する手法」になります。初心者の方には少し難しい内容になりますが、こういった考え方もあるんだと知っておくことは非常に大切だと思うので、なんとなくでいいので眺めてみてください。

マーケットメイクの基礎

マーケットメイクとはその名の通り市場を作ることで、買いと売りの指値注文を高頻度で指すことによりそのスプレッド分の利益を細かくとっていく手法を指します。下記の図をご覧ください。

図のように買いと売りの指値を置いたとします。その後価格は波をうって売り指値と一度上回り、また買い指値を一度下回って推移しました。この取引により結果的には(売り指値 – 買い指値)分の利益を得ることが出来ることになります。

このように、市場は波をうって価格形成するという性質を利用することで一定期間においてどのくらいの波の幅を形成するかを予測し、最も利益を最大化できる位置に買いと売りの指値価格を置くことでそのスプレッド分の利益を取ることが理論的に可能となります。

指値調整の考え方

マーケットメイクはつまるところ適切な価格で買い指値と売り指値を置くことが出来ればそのスプレッド分の利益を得ることが可能となりますが、その最適な価格を算出するにあたり考慮すべき様々な事項があります。

在庫リスク

マーケットメイクでは基本的に買いと売りの両建て注文をするものであり、場合によっては価格が一方的に下落して買い指値だけ約定し、売り指値が約定せず残ってしまう場合があります。価格の波の形成予測を誤るとこのように片方に在庫が残ることになり、在庫が残るとその後の価格変動リスクを受けてしまいます。

この在庫を解消するために注文方法に工夫が必要となります。例えば一定以上の在庫が発生したら両建てをせず在庫を解消する方法のみの指値しか置かないという方法や、在庫を解消する方向の指値価格のスプレッドを狭くすることで約定しやすくする方法などが考えられます。

相場の勢い

適正価格算出に当たっては、相場の勢いを加味することも非常に重要です。仮に相場の変動が少ない状況で上下に大きなスプレッドを設定してしまうとそもそも約定しなくなってしまいますし、逆に相場の変動が大きい状況で上下に小さなスプレッドを設定してしまうと、利益幅を小さくしてしまうことになります。

この相場の勢いを価格設定に織り込む必要があります。例えば一定時間における取引量を測定し通常時の取引量との差分をスプレッドに加味する方法や、一定時間における標準偏差を測定しスプレッド計算に織り込む方法などが考えられます。

板の厚み

指値価格の設定においては板の厚みも重要となります。もし100円の売り板が100憶円分出ている状況で101円の売り指値を置いても、いつまでたっても約定しないことは明白ですし、逆に板がかなり薄い状況では思っている以上に大きな価格変動の波を描くことになります。

この板の厚みを加味する方法としては、例えば上下の一定の価格幅までの板の厚みを測定することで通常時の厚みとの比率を計算しスプレッドに織り込む方法や、一定時間における市場の成行買い取引量を予測し、当該成行買い注文が刺さる最も有利な価格に指値を置く方法などが考えられます。

想定期間経過後の相場予測

マーケットメイクは基本的には細かいスプレッドによる利益を積み上げていく方法ではありますが、想定期間における価格変動予測なしではなかなか利益をあげることが難しくなっています。

想定期間経過後の価格変動予測方法は挙げるときりがないですが、例えば直前の一定時間における買いと売りの取引量を測定し、当該取引量と一定時間経過後の価格変動との関係を分析する方法や、他の大手取引所との価格変動の時間差(レイテンシー)を利用して他の大手取引所のとの価格差を指値価格設定に織り込む方法などが考えられます。

まとめ

マーケットメイクの基本的な考え方について記載しましたがいかがでしたでしょうか。あくまで稼ぐための一手法として紹介しましたが、これは自動売買プログラムを作成できることが前提の手法であるため、ひとまずそんな考え方があるんだということだけ知っておいていただければ十分かなとも思います。もしかしたらこの知識が今後のトレードで役に立つ場面があるかもしれません。

こういった高頻度取引はいかに早く注文を出すことが出来るかといったスピードも非常に重要であり、価格設定のロジック構築以外にもたくさんの課題があります。もしプログラミングを学んで本格的にマーケットメイクプログラム(mmbot)を作成したいという方は、UKIさんのマーケットメイクの理論をまずは読んでみてください。