仮想通貨の裁定取引(アービトラージ)とは【裁定取引のやり方解説】

仮想通貨

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読者「何か裁定取引っていうノーリスクでお金を稼げる方法があるって聞いたんですけど、裁定取引って何ですか?やり方を教えてください!」

裁定取引(アービトラージ)という言葉を聞いたことはありますか?wikipediaの解説によるとその定義は「金利差や価格差を利用して売買し利鞘(りざや)を稼ぐ取引のこと。サヤ取り(鞘取り)ともいう。」と記載されています。つまり同じ商品なのに価格が違う市場があって、その価格差を利用してリスクなく利益を獲得する方法をいいます。

仮想通貨でも可能か

結論から言うと仮想通貨においてもまだ裁定取引機会はあると言えると思います。仮想通貨は国内だけでなく海外も含めるとかなり多くの取引所があるため、取引所間の価格差が生じることが多いです。また、この記事の執筆時点では仮想通貨市場はまだ多くのプロ(機関投資家)が参入している市場とはなっていないため、取引所間の価格差が即時に埋められる状況とはなっていません。

裁定取引は同じものが違う値段で売っているという状況を利用するものであり、仮想通貨市場において大きく分けて3つに分類出来ます。

  • 取引所間価格差を利用した裁定取引
  • 取引所内価格差を利用した裁定取引
  • 現物と先物の価格差を利用した裁定取引

取引所間価格差を利用した裁定取引

これは取引所ごとに同一通貨の値段が違うことを利用した裁定取引であり、値段の安いほうの取引所で買って値段が高いほうの取引所で売るという方法です。

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読者「そっか、じゃあ値段が安い取引所Aでビットコインを買って、値段が高い取引所Bに送って、取引所Bでビットコインを売ればいいのか!」

ちょっと待ってください。仮想通貨の送金ってだいぶスピードは上がったとは言え早くて数分、遅いと数時間とかかかっちゃいますよね?それだけ時間があったら、せっかく開いていた価格差も元に戻ってしまいますし、送金している間に価格が暴落してしまうかもしれないのでリスクが大きいです。

仮想通貨市場が活発でない頃は価格差が数時間開きっぱなし、しかもその価格差も広いときは3%~5%近く開いていることもあり、安いほうで買って高いほうに送金するという手法も利用できましたし僕も実際利用していました。しかし現在はそのような取引機会自体かなり少なくなり、価格差が開いてもすぐにその差はなくなってしまいます

裁定機会が生じたらすぐに買い、そして売る必要がある。

要するにすぐに安いほうで買って、高いほうで売ればいいわけです。すぐに取引をするためには、その取引所に日本円なりBTCなりお金を入れておく必要があります。つまり、

「価格差が生じる可能性のある複数の取引所に取引可能な日本円やBTCを入金しておき、裁定機会が生じた取引所で反対売買を即時に実行する」

では次に取引所間価格差の種類について簡単にまとめたいと思います。今までの話で、「取引所Aで99万円、取引所Bで100万円になった瞬間、即時にAで買ってBで売ればいいんだ」というイメージはついたと思いますが、取引所間の価格差は何も日本の取引所や円建て商品だけにとどまりません。例示すると下記です。

  • 日本の円建て市場の取引所間で価格差が生じている
  • 日本の円建て市場の取引所と海外のドル建て市場の取引所間で価格差が生じている
  • 海外のドル建て市場の取引所間で価格差が生じている
  • 日本の円建て市場の取引所と海外のBTC建て市場の取引所間で価格差が生じている
  • 日本のBTC建ての…。。以下続く

つまり日本の取引所であろうが海外の取引所であろうが、円建てであろうがBTC建てであろうが、その市場の示している価格に差が生じていればそれはすべて裁定取引の機会が生じているということです。

上記を元に考えると例えばこんなことが考えられます。

 仮想通貨X(BTC建て市場が存在)を取り扱う取引所Aと取引所Bに、仮想通貨XとBTCを一定程度入金しておく。
⇒仮想通貨Xの取引所Aでの価格が0.00000010BTCで、取引所Bでの価格が0.00000011となり価格差が生じる(BTC建ての価格の最も小さい単位が0.00000001であるためBTC建て市場ではこれより細かい価格設定は出来ない)。
⇒取引所Aで仮想通貨Xを買い、取引所Bで同量の仮想通貨Xを売る。

上記の例での仕入高に対する利益率を計算すると、
(0.00000011-0.00000010) / 0.00000010 = 10% 

何と仕入れた金額に対して10%も利益が出る計算になります
10億円仕入れた場合、1億円の利益ですねw

もちろんこの例では価格の安いかなりマイナーな通貨を例にしているので、10憶円も買って売れるほどの買い板と売り板の厚みはないですけどねw
またこの例の取引は、マイナー通貨である仮想通貨Xを事前に保有していることが前提となるため、裁定取引によってある程度の利益を得たとしても仮想通貨X自体の価値が暴落してしまえばトータルでマイナスとなってしまうリスクも伴います。

これ以外にも円建てとドル建ての仮想通貨の価格を、その時の為替レートで換算してみると思った以上の価格差が生じていることもあります。色々とためしてみて、自分に合った手法を見つけてみてください。

取引所内価格差を利用した裁定取引

今までは異なる取引所の間での価格差が生じる場合について記載してきましたが、裁定取引が「市場の価格矛盾を突く」手法であることを鑑みると、同一取引所内であってもその矛盾の生じる余地があることが分かります。下記の例を見てみましょう。

ある取引所で仮想通貨Yの市場が複数存在する(ここでは①円建て市場と②BTC建て市場を想定)。あなたはこの取引所にある程度の日本円とBTCを保有していると想定する。
⇒仮想通貨Yの価格は現在①99万円②1BTCで販売されている。BTC価格は現在1BTCあたり100万円である。
⇒ここで仮想通貨Y1単位を①円建て市場で購入、②BTC建て市場で売却する。

この例では、①の円建て市場での仮想通貨Yの価格は99万円、②のBTC市場での仮想通貨Yの価格は100万円なので、この取引により実質1万円の利鞘を抜くことができたということになります。

他にも海外取引所では同一市場内にETH市場やUSDT市場、DOGE市場など複数の市場が存在することが多いので、色々と試してみましょう。

現物と先物の価格差を利用した裁定取引

仮想通貨には先物市場というものが存在するのをご存じでしょうか。例えば国内大手のbitFlyerにも●月●日限月の先物市場というものが複数設けられています。先物取引でググるとwikipediaでは下記のように書かれていました。

先物取引(さきものとりひき、英: Futures contract)とは、いわゆるデリバティブ(派生商品)の一つで、価格や数値が変動する各種有価証券・商品・指数等について、未来の売買についてある価格での取引を保証するものを言う。

よく分からないですねw

要は将来のある時点での予想価格(先物価格)を売ったり買ったりする市場のことで、チャートの見方や売買方法はほぼ国内のレバレッジ取引市場と同じと考えていいと思います。

先物市場の肝は、●月●日の価格(先物価格)を予想するゲームなので、●月●日のゲーム終了時刻の先物価格は、現物の価格と一致するというところにあります。

つまり終了時刻の先物価格と現物価格が同一価格なのであれば、それ以前において先物価格と現物価格に乖離が生じた場合裁定機会が発生しているということを意味します。先物価格と現物価格に大きな乖離が生じた際などには、積極的に狙ってみるのもありだと思います。

まとめ

何度も記載しましたが裁定取引は「市場の価格矛盾を突く」取引手法なので、異なる取引所間であろうが同一取引所内であろうが、現物と先物であろうが原理は同一です。色々な市場の価格を円換算して比べてみて、色々試してみましょう。

裁定取引を手動で試行錯誤してみて、いくらかの利益を出すことが出来るようになると、ある疑問が浮かぶと思います。

これって、自動化出来るんじゃね?w

そうです、裁定取引はロジックが単純であるので、自動化に向いている手法と言えます。ただしあくまでも稼げる手法を見つけるという作業が一番肝となる部分ですので、まずは試行錯誤することから始めてみてください。

仮想通貨の自動売買についてより詳しく知りたい方は、今後記事執筆しますので是非読んでみてください。

また、今後Twitterで裁定取引機会を通知するBOT稼働予定ですので、Twitter(@italiajin1031)も是非フォローよろしくお願いいたします。